令和3年1月9日福祉・健康活動

このカテゴリーでは、福祉・健康活動について、様々な地域活動と呼ばれる行事やイベントを取り上げ、一つひとつその具体的な手法や、使用する書式など紹介する。

東広島市 重見(篠原)裕次郎


 

障害者の参加

 

地域サロンとしては、障害者が集まるサロンにおいて、障害者(児)・介護者の心配事や今後の見通しなどを話し合いながら、当事者同士の交流を深めているところであるが、それとは別に、障害者(児)が参加できる行事の作り方を紹介したい。

 

まず基本的な知識を押さえておくと、平成28年4月から「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」が施行され、行政機関や事業者(NPOなどの非営利組織も含む)は、「不当な差別的取扱い」の禁止と、「合理的配慮」の努力(行政機関は法的義務)をすることになっている。

つまり、住民自治協議会でも当然、差別は禁止だし、合理的配慮もできるだけ行わないといけない、ということだ。

「不当な差別的取扱い」とは、障害を理由としてイベントへの参加を拒否したり、障害者本人を無視して介助者のみに話しかけたり、といったことで、当然行ってはいけないことだが、では「合理的配慮」とはなんだろう。

「合理的配慮」とは例えば、順番を待つことが苦手な知的障害のある人に対し、周囲の理解を得た上で手続き順を変更したり、精神的な疲労や緊張などに配慮し別室や休憩スペースを設けたり、意思疎通のために絵や写真カードなどを活用したり、イベント中の進行を音声案内だけでなく文字による掲示を行ったり、筆談で対応したり、などなど。いわゆる今まで「思いやり」とも呼ばれていた行動のこと。

 

この「合理的配慮」は、障害の種類によって、対応が様々であるため、まずはどのような障害があり、どういう点に注意するのか知っておく必要がある。

  • 視覚障害…全く見えない場合と、見えづらい場合とがある。白杖を持っていたり、盲導犬と一緒にいたりする。通常歩く場所(点字ブロックなど)に物を置かない、盲導犬に声をかけない、など配慮しよう。
  • 聴覚障害…音が全く聞こえない場合と、聞こえにくい場合がある。先天性(生まれながら)であれば、そもそも日本語の理解や表現が困難な場合もあるので、筆談する際もやさしい日本語を書くよう心がける。イベントでの司会の声が聞こえないので、筆談や身振りで教える、手話通訳者を設置するなど配慮しよう。
  • 肢体不自由…上肢(手)・下肢(足)の麻痺や欠損がある。車いすや杖などを使っている場合がある。エレベーターの場所を教えたり、イベントではバリアフリーの環境を利用したり、など配慮しよう。
  • 知的障害…知的能力が年齢相応に発達していない。「ことばを使う」「記憶する」「抽象的なことを考える」ことが難しかったり時間がかかったりする。危険に気づいていないときにやさしく声をかける、一気に沢山のことを言わず、ゆっくり、簡単にひとつずつ分かりやすく伝える、など配慮しよう。
  • 精神障害…統合失調症や躁うつ病などがある。幻覚、妄想、不安、憂鬱感、不眠などを抱えている場合がある。本人に頑張りすぎないよう促す、薬で軽快することがあるので受信を促す、など配慮しよう。
  • 発達障害…自閉症(言葉の遅れ、コミュニケーションの障害、こだわり等)、アスペルガー症候群(対人関係・社会関係の障害、興味・関心の偏り等)、ADHD(不注意、多動、多弁、衝動的等)、学習障害(読む、書く、計算するなどのうち特定のまたは複数の能力が極端に苦手等)がある。短い文章や言葉で話す、自分の気持ちを分かりやすく伝える、手順を表や絵にして伝える、など配慮しよう。
  • 高次脳機能障害…事故などで脳が損傷し、コミュニケーション、集中力、記憶、計算、感情のコントロール、相手の気持ちの理解、などが難しくなる。静かなところで落ち着いて話を聞く、ゆっくり簡単に分かりやすく伝える、どこに何があるかラベルを張っておく、スケジュール表を作成する、など配慮しよう。
  • 内部障害…「心臓機能」「呼吸器機能」「膀胱・直腸機能」「小腸機能」「肝臓機能」「HIVによる免疫機能」の障害。外見では分かりにくいことと、他人には知られたくないと思っている場合があることなどから、無理に確認せず、疲れやすいように見受けられる方へは、休憩所を案内するなど、配慮しよう。

 

これらの基本的な知識は、国、県、市町村で、様々な資料配布や出前講座などが行われているので、それらを活用して、まずは役員やスタッフから学んでおこう。

 

また、多くの障害別配慮に共通しているのが、短い文章や簡単な言葉でゆっくり分かりやすく伝える、いわゆる「やさしい日本語」を使う、ということだ。

やさしい日本語の例

・ご用件を伺います→どうしましたか?

・こちらにお掛けください→ここに 座(すわ)って ください。

・欠席する→休(やす)みます。

・参観日→お父(とう)さんや お母(かあ)さんが 子(こ)どもの 学校(がっこう)に行って 授業(じゅぎょう)を 見(み)る 日(ひ)

・弁当持参→昼(ひる)に 食(た)べる 物(もの)を 持(も)って 行(い)くこと

・●●川の水位が警戒水位を超えました→●●川(がわ)で 水(みず)が たくさん 流(なが)れています。水(みず)の 量(りょう)が 多(おお)いです。危(あぶ)ないです。

 

やさしい日本語は、災害時等に外国人に対する配慮として広まってきたが、障害者にも大いに活用できるので、会話や筆談でも使えるよう練習しておこう。

 

また、「コミュニケーションボード」と言う、話し言葉によるコミュニケーションが困難な方に対して、分かりやすいイラストを指さしながら意思を伝えることができるツールがある。市役所窓口や一部の市内店舗などに設置しており、次のような人に対応している。

・自閉症や知的障害などがあって、言葉と絵で伝えると理解しやすい方

・聴覚に障害のある方

・言語に障害のある方

・外国人など、言葉で相手に伝えることが難しい方

 

R030109コミュニケーションボード例1

R030109コミュニケーションボード例1

R030109コミュニケーションボード例2

R030109コミュニケーションボード例2

 

聴覚障害者で手話を使われる方に対しては、手話通訳者を手配するということも必要だ。これはお金がかかるため、いくらでもつけることが出来るわけではないが、規模の大きい講演会などに、活用を検討してほしい。(広島県の場合、(社)広島県ろうあ連盟(手話通訳派遣委員会)に依頼する。)

 

手話通訳者は、聴覚障害者自身が自分の費用負担(自治体の障害福祉サービスの場合もある。)でつけることもあるが、それはあくまで買い物など個人の用事の為につけるのであって、講演会のような広く参加者に来て欲しい行事の場合は、主催者側が用意する必要がある。

「障害」というものは、個人が「障害」を持っているのではなく、個人の特性に(多数者のために作った)社会環境の方が合わず「障害」となっている、ということ。

もし、健聴者の貴方一人が、聴覚障害者の輪の中に入り、手話で会話されたとすると、会話に参加できない「障害」を受けるのは貴方の方なのだ。

 

以上のような、運営側の知識や対応の準備ができたら、チラシ等に、どういった配慮が可能かを記載し、障害者でも参加できる旨を記載しよう。

記載例

・字幕や音声情報がついた映画の上映会→「視覚障害、聴覚障害のある方も参加できます。」

・手話通訳・要約筆記のついた講演会→「手話通訳あり・要約筆記あり」

・観覧席に車椅子の専用スペースがある→「車いすの方も参加できます。」※施設全体がバリアフリーであることが必要。

・休憩所がある→「自由に休憩所を利用できます。」

 

↓チラシ掲載例

R030109チラシ事例

R030109チラシ事例

最近では全国的に、自治体から自治会等へ、避難行動要支援者への避難支援(個別計画の策定)を依頼されており、その取り組みの中で、自分たちの地域にどのような支援を必要とする方がおられるか把握しておくと、様々な地域活動に反映させることができよう。

 


R030109障害者の参加

東広島市 重見(篠原)裕次郎